【IoT時代に必須】ZigBeeとは!?他の無線比較と活用法を徹底解説

近年IoTという言葉をよく耳にするようになりました。それは「あらゆるものがインターネットにつながる」という意味こと。

このIoTの普及に伴い、短距離間を高速、省電力で通信できる技術が求められるようになってきました。

そこで私たちが身近に感じるのは家の中やオフィスで使っているWi-FiやBluetoothですよね。しかし、IoT普及において実は一番注目されているのが「ZigBee」だと言う事をあなたは知っているでしょうか。

今回はあまり一般的ではない無線通信であるZigBeeにはいったいどんなメリットがあるのか、他の無線とどう違うのかを取り上げました。

ZigBeeって一体なに?

ZigBee(ジグビー)とは、センサーネットワークを主目的とする短距離無線通信規格の1つです。

2004年標準化団体ZigBee Allianceにより策定され、その後2007年にZigBeePRO (ZigBee PRO フューチャーセット)が発表。

これが現在の主流となっています。名前はミツバチに由来しており“bee”=ミツバチ、“zig”=ジグザグに動いて蜜のありかについて情報交換をすることを表し、ネットワークに接続された端末同士が連携するということでその名前が付けられました。

通信速度はあまり速くないものの消費電力が非常に低く、大規模ネットワークの構築に適していると言えるでしょう。

  • 具体的な仕様
  • 規格:IEEE802.15.4
  • 消費力:低い(ボタン電池:約1年、単三電池:約2年)
  • 通信速度:20k~250kbps
  • 通信距離:10m~30m
  • 周波数:868MHz帯(主に欧州向け)、915MHz帯(主に米国向け)、2.4GHz帯(全世界向け)の3つ。日本は2.4Hz

ネットワークノード

ZigBeeは初めからセンサーネットワークにフォーカスして作られた技術です。ネットワーク構造はコーディネーター、ルーター、エンドディバイスの三つの構成からなっています。

【コーディネーター】ZigBee Coordinator(ZC)

無線ネットワークを管理するコーディネータです。1つのネットワーク内に必ず1台存在し、ネットワークを構成、制御を行う唯一の端末。

機能や役割に応じてネットワークを構成する親機になる存在です。このため通常は外部と接続するゲートウェイになります。

【ルーター】ZigBee Router(ZR)

他のルータやエンドデバイスからの通信受け取り、別のルータやコーディネータに中継することができます。他の装置間で行う、データの受け渡しを行うことができるのがこの端末。

スリープさせる必要がない高頻度なデータのやり取りではRouterが効果的です。網状に連結して端から端までデータを転送することで複数の通信経路ができ、何らかのアクシデントにより通信経路が絶たれた場合でも、通信不能状態を避けることができます。

【エンドデバイス】ZigBee End Device(ZED)

三つの中で唯一スリープできるノード。末端に接続され間欠的に通信するエンドデバイスで、データ中継機能を持たないローコストな単機能端末です。

エンドデバイス同士での通信も可能。しかし、直接的に通信を行うことはできないため、一旦ルータを繋いだうえでエンドデバイスとの通信になります。

ネットワーク構造

ネットワークは最大約65000個のノードからなり、スター型、クラスタツリー型、メッシュ型の三種類のトポロジー構成することができます。

トポロジーとは、通信ネットワーク上で、機器間による接続形態の分類で、ネットワークを構成するノード(機器)同士が、どのような規則性にもとづいて繋がれているかを模式的に表したものです。

スター型

コーディネータが中心になってルータやエンドデバイスは、星型状に接続されます。この場合にエンドデバイスやルータは、コーディネータと直接通信を行うことになります。

クラスタツリー型

USBのような、1対多の通信が主になるネットワークで使われるネットワーク構造です。枠がクラスタを示し、その中にツリー構造の1つの根から枝分かれする様に伸びていくトポロジーでネットワークが構成されます。

エンドデバイスを何台か接続すると大体の場合このように構成になり、接続延長の鍵となるのがルータです。

メッシュ型

ルータが網の様に接続され、必要に応じてエンドデバイスが接続されます。この接続は、ポイントからポイントまでの経路が多数存在するので、もし使用しようとしている経路に不具合があった場合でも、別の経路を使って通信することが可能な側面を持っています。

スター型は現在BluetoothやIEEE802.11/Wi-Fiもサポートしていますが、メッシュ型もサポートしているのはZigBeeだけです。

ZigBeeの特徴~利用メリット~

圧倒的省電力で低コスト

他に比べ圧倒的に省電力であることがZigBeeの特徴です。消費電力が少なくスリープ時とデータ送信時の切り替えに要する時間は数10ミリ秒。

スリープをうまく活用すればボタン電池で半年以上、乾電池だけで1年や2年といった単位での稼働ができます。

同時接続台数が多い

ZigBeeは複数台の同時接続を得意とする無線規格です。ZigBeeは1つのネットワークに、最大65,536台のZigBee端末を接続することが可能。

複数台の機器と同時に接続してデータの受け渡しを行うということは、他の無線規格ではかなり難しいことですが、ZigBeeの場合は容易にできてしまいます。

また、1台のコーディネータからエンドデバイスに同じメッセージを複数の受信者に同時に転送する(ブロードキャスト)ことができる上、各エンドデバイスに個別に送ることも可能。

反対にエンドデバイスからコーディネータへデータを送ることもできます。また、ルータを使うことでメッシュ型やツリー型のネットワーク構築によりデータ転送も可能。

ZigBeeの特徴は、メッシュ型やツリー型のネットワークを構成し、ZigBee Routerがこれにより一部の端末が停止した場合にも、迂回経路を使って通信を継続できる他、低消費電力にて広範囲で通信を行う事が出来ます。

IoTとの相性抜群!その理由は?

IoTとは、あらゆるモノがインターネットにつながるという仕組みのことを指します。ではそのIoTとZigBeeはどうして相性がいいとされているのでしょうか?

理由①「データ収集のためにセンサーを省電力で行える」

インターネットで収集したデータはクラウドにアップされ、ビッグデータとしてあらゆる用途に活用できるようになります。

しかし、様々なデータを収集するためには圧倒的に省電力でなければいけません。その点、ZigBeeは電池だけで1、2年といった単位での稼働が可能。最適なネットワーク規格といえるのです。

理由②「ZigBeeのデメリットも問題ない」

ZigBeeは通信速度に関して、遅いことがデメリットとされていますが、高速回転の必要がないIoTにおいての通信速度としては十分の速度です。

理由③「アクセスポイントが少なくて済む」

例えばオフィスビルなどの建物内での温度湿度管理する際、Wi-FiやBluetoothをIoTセンサーに活用しようとすると、アクセスポイントなどが多数必要になってきます。

しかし、ZigBeeの場合65535までのノード対応しているため、フロアごとにアクセスポイントを設置する手間もなく、低コストで導入することができます。接続機器が多いということは、それだけでもIoTとの相性が良いということです。

理由④「スリープからの復帰で高い利便性を発揮」

IoTに接続するセンサーの中には、利用頻度が高いものだけではありません。逆に低いデバイスもあるものです。

そのような場合にもスリープから短い時間で復帰できるということは、IoT管理においても利便性が高いということです。

Wi-Fi・Bluetoothとの違いを徹底解説

最初に分類分けするとZigBeeはBluetoothと同じ無線PAN、Wi-Fiは無線LANです

無線PAN(ZigBee)と無線LAN(Wi-Fi)の違い

ZigBeeとWi-Fiは無線の規格が違います。どちらも同じ無線なのですが、電波の届く距離(周波数)が異なるということです。

無線電波の届く距離というのは規格ごとに変わり、小さい順から無線PAN(Bluetooth・ZigBee)➝無線LAN(Wi-Fi)➝無線MAN(WiMAX)➝無線WAN(3G/LTE)となっています。このように無線には規格により周波数帯がかわり消費電力に大きな違いがあります。

無線PANのBluetoothとの違いは?

ZigBeeとBluetoothはと2.4GHzという同じ周波の無線PANです。また、「近距離無線」「省電力」「低コスト」「パーソナルエリアネットワーク」という似た特徴を持っていることから、2つの無線通信は同じようにとらえられがちですが、実は得意な分野の違う性質を持っています。

ZigBeeは消費電力がとても低く、スリープしているときの待機電力はBluetoothよりも少ないのが特徴です。

スリープ解除からデータ送信まで短時間で行えるので、常にスリープモードや電力OFFにしておき、データを送りたいときだけ短時間復帰させるということができます。

また同時接続台数も多く、大規模なネットワークを構築することができます。しかし、通信距離で考えたときZigBeeが約30mに対し、Bluetoothは約100mの通信が可能。

更にBluetoothは通信速度を落とすことで距離を4倍にも伸ばすことができます。また、Bluetoothがイヤホンやマウス、スマートウォッチに採用されているのに比べ、ZigBeeは活用頻度がまだ少ないという現状です。

ZigBeeはこれからのIoTの時代において活躍することが期待されています。

ZigBeeの最適な機器とは?

ではどんなものに搭載されると性能を発揮できるのでしょうか?

リモコン類

ZigBeeはスリープからの短時間で復帰できるメリットがあり、使わないときはスリープ状態で待機させておき、ボタンを押したときだけ復帰、その後またすぐにスリープさせるという使い方が可能です。

また、電池の減りが気にならないのも大きなメリット。ON・OFFのような小さいデータなので素早い通信速度は必要ないので、ZigBeeの特徴を最大限に活かした使い方ができると期待されます。

  • 具体例
  • テレビチャンネル
  • 医療用緊急通報リモコン

組込み機器同士のデータ収集

ホスト機器から一気に計測機器へ指示を出し、データを集める。というような事はZigBeeが得意とする分野です。

ZigBeeはスリープの待機電力が小さく、またすぐに復帰できることから、間隔を空けてデータ送信を行う無線システムなどに向いているといえます。

普段はスリープ状態で待機し、データを送りたいときだけ短時間で復帰、データ送信後にはスリープ状態に戻る、というようなZigBeeのメリットを十分活かした使い方といえます。

データを送るときのみ起動させるという方法で、上で説明したリモコンと同じような利用方法になります。

このような特性を生かし、家電や各種センサーを組み合わせた住居の自動化、ITを活用したビル内の空調・電気・防犯などの管理自動化、工場の自動化を期待されています。

  • 具体例
  • 太陽光発電表示パネル
  • 警報ランプ
  • 住宅用キーレスエントリー
  • 重機アーム用センサー
  • 地震発生時の構造物確認
  • テーマパークでの移動把握

ZigBeeをセンサーと接続するには

では実際ZigBeeをIoTセンサーと接続して実際に利用するには親機と子機が必要になります。どのように行うのか大まかな流れをまとめてみました。

PCと接続、ペアリングを行う

ZigBeeのネットワーク内のデバイスを指定、設定する作業です。ほとんどの場合は電源を入れると接続ができる状態になります。

ペアリングできているか確認

LEDランプが一定時間点灯します。これは、ネットワークの参加状況を確認するためのものです。

デバイスが接続されているか確認

PC側でターミナルの設定画面を開き、デバイスが表示されているかを確認します。設定は製品によって違いますが大体の場合、提供しているメーカーのホームページから無償でダウンロードが可能になっています。

通信テスト

1~3までが終わると最終段階のテストです。それぞれの子機同士で通信が可能であるか確認してみましょう。

子機Aから特定の文字列を子機Bに送信

子機Bのターミナル画面に正常に表示されるか確認

今後の課題は「電波の混線」

新たな無線通信規格として注目されているZigBeeですが、懸念される課題があります。それが無線同士の混線です。

ZigBeeはWi-Fiと同じ2.4GHz帯の周波数帯を使用しているため、Wi-FiがZigBeeの通信に影響して正常な通信ができなくなったり、Wi-Fiの通信速度に影響を与えたり、と今後の課題とされています。

この問題を解決しない限りWi-Fiに関して、領域の取り合いになり、うまく市場を築けない可能性があります。

まとめ

近い将来やってくるIoTの世界において、ZigBeeはキーポイントになってくるでしょう。そんな注目のZigBeeをあなたの使用する日も遠くない未来です。しっかり知識を持ち、よりよく便利に使っていきたいものです。