VR環境の形成、4K8Kの動画など、大容量のデータをネット環境で共有したり、送信したり、今までの通信規格ではスピードが遅かったりと使い物になりません。そこで考えられているのが、Wi-Fi 6とよばれる新しい規格です。これから、Wi-Fi 6について詳しく紹介します。
目次
Wi-Fi 6とは
Wi-Fi 6は、2020年末までに、16億台の対応デバイスが出荷されると見込まれており、現在普及中の規格です。
Wi-Fi 6は、5つの特徴を持っています。
- 最大通信速度9.6Gbps
- 同時接続をしても、通信速度が落ちない
- TWT機能の活用で、デバイスのバッテリーの寿命が長い
- 2.4GHz帯と5GHz帯の2つの周波数帯をもつ
- 互換性があるため、下位互換も可能。
Wi-Fi 6が考えられた経緯
自宅でWi-Fiを自分1人だけで使うのであれば、速度にそれほど違和感はありませんが、それでも重い動画やファイルをダウンロードする際には、時間がかかることがあります。
また会社など複数の人が1度にWi-Fiを使うような環境であれば、どうしても速度は遅くなってしまうはずです。これからの時代は、ネットで会議をしたりリモートでの仕事が多くなってきます。
そうなると、このWi-Fiの通信速度に大きな比重がかかってくることになります。もちろん、にスマホを操作する際も、Wi-Fiが混雑していると見たいサイトがなかなか表示されず、もどかしくなることも多いことでしょう。
こういった問題や悩みを解決するには、Wi-Fiの通信性能を格段に上げる必要が出てきます。つまり、この先の更なるインターネットの飛躍とデバイスの通信性能を充分に発揮できるように、開発されたのがWi-Fi 6なのです。
LANの基礎知識とWi-Fiとの違い
有線LANから無線LANへ
その昔、インターネットを利用する際には有線LANが主流で、モデムやルーターとパソコンをケーブルでつなぎます。
この場合、他の電波や障害物の影響を受けずに安定的な通信ができるというメリットがあります。
ただ、ノートパソコンやタブレットのように持ち運びのできるデバイスではそのケーブルが邪魔になるという欠点もありました。
そこで登場したのがルーターとパソコンの間にケーブルが要らない無線LANです。これによりケーブル無しでもインターネットに繋ぐことができ、場所を選ばずデバイスを利用できるようになりました。
さて、このLANという言葉ですが「Local Area Network」の略で、限定されたエリア内で接続可能なネットワークというという意味です。会社内や自宅で使うのが一般的ですが、コンビニやショッピングモールのように公の場所でも使えます。
無線LANとWi-Fiの違いは
無線LANは、よくWi-Fiのことだと思われがちですが、厳密に言うと意味合いが少し違います。無線LANという大きなくくりの中に、Wi-Fiという種類があります。
この無線LANですが出始めの頃は、各メーカーによりその規格がバラバラだったため、メーカーが違う機器を使うとLANに繋ぐことができないという不便さがありました。
そこで、その規格を統一して使いやすい環境にしようという動きがあり、登場したのがWi-Fiです。
Wi-Fiの経緯ですが、アメリカに本部がある電気電子学会「IEEE」が無線LANの標準規格を決め、認定しています。
このことにより、メーカーや機種の枠組みを超えて無線LANを利用することができるようになりました。
パソコンなどを買うと、説明書やパッケージに「Wi-Fi CERTIFIED」、あるいは「IEEE802.11 対応」と書かれています。これはWi-Fi対応ということを表しています。
Wi-Fiは広く普及していますので、今では無線LANというとWi-Fiという考えでも問題ありません。
Wi-Fiの歴史とWi-Fi 6の誕生
Wi-Fiは無線LANの規格を統一という偉業を成し遂げた無線LANの一つですが、誕生してから今まで、少しずつ規格が変わってきています。
この無線LANの規格を制定しているのが、Wi-Fi Allianceという団体で、Wi-Fiの正式名称は「IEEE 802.11+アルファベット」となります。
このアルファベット部分には「n」や「ac」などがあり、2021年1月の時点では第5世代の規格を認定しています。
ただ、このWi-Fiの規格を紹介する際、「IEEE 802.11+アルファベット」で表記するにはとても長く不便な面があります。
そこでWi-Fi Allianceはこれまでの規格に対し、ナンバリングを行うことで、簡潔に分かりやすい表記ができるようにしたのです。
具体的には2009年に規格が策定された「IEEE802.11n」を「Wi-Fi CERTIFIED 4」、略してWi-Fi 4と呼ぶことにして、その次も同じようにWi-Fi 5としました。
このナンバリングはもちろん次世代のWi-Fi規格にも当てはまりますので、次の規格はWi-Fi 6となります。
このように同じWi-Fiでも知らないうちに少しずつ便利な性能を備えて、進化を遂げてきています。
こうなると楽しみなのが最新のWi-Fi 6はどんな機能や性能、特徴がありどういった進化を成し遂げているのか、ということでしょう。
Wi-Fi 6のメリットと従来のWi-Fiとの比較
新たに登場したWi-Fi 6ですが、これまでもWi-Fiとの違いや特徴、メリットについて紹介していきましょう。まずは通信速度ですが、Wi-Fi 6はWi-Fi 5に比べて1.4倍の速さを持っています。
つまりこれまでよりも容量の大きなデータをより速く転送できるようになったわけです。これによりデータが大きな4K8Kといった高画質な映像の受信も可能となります。
そして、ゲームをする人であればより高画質な迫力ある映像を楽しむことができます。現在は、スマホで動画を見ることも増えてきていますし、広告も動画のものが多いので、通信速度の改善は必須課題とも言われていました。
また5GHz帯と2.4GHz帯という、2つの周波数帯を切り替えることもできますので、回線の状況を見ながら使うことができます。
また大人数でネットゲームを行うような場合も「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」という最新の技術により接続機器が増えても快適なプレイを楽しむことができます。
次に省エネに関してですが、Wi-Fi 6はTWT(ターゲットウェイクタイム)という機能を搭載しています。これは親機から子機への通信のタイミングを調整するもので、端末の電力を最小限に抑えることができるのです。
5Gとの違いと関係性は
さて、一方で新しい通信規格として5Gが登場しました。Wi-Fi 6と同じように高速で大容量をウリにしているわけですが、ではWi-Fi 6との違いはどこにあるのでしょう。
結論から言えば、5Gは屋外で、そしてWi-Fi 6は屋内でという使い分けになります。ただ、5Gが普及していくにはもう少し時間がかかるとも言われています。
通信範囲や対応機器などの問題をクリアする必要があるからです。しかし双方が互いの足りない部分を補うことで、双方のメリットがより大きくなるわけです。そのため、通信環境は格段と飛躍するはずです。
Wi-Fi 5に比べ一段と優れた性能を持つWi-Fi 6ですが、デメリットとしては今のところ対応している機種が少ないという点があります。つまり、Wi-Fi 6の恩恵を充分に受けることができないというわけです。
しかし、これからWi-Fi 6に対応した機種が次々に発売されていきますので、この問題もすぐに解消されることでしょう。
Wi-Fi 6の性能を体感するにはまずはルーターが必要
この先、パソコンやスマホだけでなく様々なIoTデバイスが活躍していく時代となっていきます。その時、速度や容量、質など通信が背負う負担はもっと大きくなっていくのです。
従来のWi-Fiではもう対応できない状況にきています。Wi-Fi 6の登場で今までの課題はクリアされ、増々便利な生活が送れるようになるのです。
また、Wi-Fi 6は互換性がありますので、今あるルーターはそのまま使うことができます。しかし、そのままでは旧規格の性能しか発揮できません。
デバイスをWi-Fi 6対応機種に替えるのであれば、ルーターも同じようにWi-Fi 6対応のものにする必要があるのです。ではおすすめのWi-Fi 6対応ルーターを紹介していきましょう。
おすすめのルーター4選
バッファロー WiFi ルーター 無線LAN 最新規格 Wi-Fi6 11ax
せっかくのWi-Fi 6であっても、部屋まで届かなければ意味がありません。マンションなどのコンクリート住宅は、電波が届きにくい場合があります。
こちらの商品は4本のパワーアンテナ搭載で、家のどこにいてもしっかりと電波をキャッチしてくれます。
また、OFDMAにより、最大21台に同時接続できますので、会社での利用にも適しています。そのため、利用機器が増えても安定した通信を維持してくれます。
大きさもスリムでコンパクトタイプということに加え、縦置きはもちろんのこと壁掛けもでき、置き場を選びません。付属のマニュアルも分かりやすく、サポートセンターでの受付もあり、アフターも安心です。
そして気になるセキュリティですがネット脅威ブロッカーベーシックにより、外部からの遠隔操作や個人情報の流出を防いでくれます。
サイバー攻撃から情報やスマート家電を守るために、こういったセキュリティ機能は欠かせません。
NEC Atermシリーズ AX6000HP
高速通信で快適なインターネット利用ができるWi-Fi 6の性能を思う存分堪能するためのルーター。まずは子どものいる親御さんに嬉しい機能、こども安心ネットタイマーですが、これは接続できる時間や時間帯をコントロールでます。
これにより子どもによるネットの使い過ぎを防ぐことができます。他にも専用アプリを使うことで今どこの端末が接続しているのか一目瞭然となり、接続制限などの設定もできます。
本体はアンテナが内蔵されたコンパクトなものですのでどこにでもすっきりと収納でき、邪魔になりません。
そして小さいながらもオートチャネルセレクト機能やバンドステアリング機能により、電波の高速性を確保し、さらに振り分けることで混雑を回避、スムーズな通信を維持します。MUーMIMOにも対応していますので、仕事などに利用する際もスピーディな伝達が可能です。
I-O DATA WiFi 無線LAN ルーター
手軽な価格でWi-Fi 6対応のルーターを手にしたいという人におすすめの機種。それでも機能面では問題なく、Wi-Fi 6の性能を充分に感じることができます。
その機能面についてですが、アンテナは内蔵されていてすっきりした外観です。「ビームフォーミングW」対応でノイズが原因の通信速度低下を防ぎ、安定した通信状態を保ってくれます。
また「MU-MIMO」にも対応していますので、スマホとPCなど2台の端末機を同時に使っても高速通信を確保します。
初期設定は必要なくすぐに使えるので、初心者でも楽々接続できます。また買い替えや故障時に備え、便利な「Wi-Fi設定コピー機能」があり、これもすぐに設定でき安心です。
他にも「ネットフィルタリング」により悪質なサイトをブロック、「ペアレンタルコントロール」機能で、子どもの利用時間を制限することもできます。
サポート体制も整っていて、メールやチャット、LINEで24時間対応してくれます。価格以上の満足度を得られるコスパに優れたルーターです。
NETGEAR メッシュWiFi無線LANルーター3台セット
パソコンやスマホだけでなく、スマートテレビやIoT家電、ゲームやセキュリティカメラなど、とにかくWi-Fi 6を最大限に利用したい方に安定した通信環境を約束する機種です。
また、最大522㎡にも及ぶ領域をしっかりとカバーしますので、4LDK以上の住宅でも隅々までしっかりと電波をキャッチすることができます。
このように力強い電波を確保する理由はルーター+サテライト2台という3台の機器を使用しているということにあります。
さらにトライバンドWi-Fiにより、速度の低下を防止し、複数の子機を使用しても速度は落ちません。
初期設定はアプリを使い行いますが、誰でも簡単にできますので、数分もあればすぐに使い始めることができるでしょう。
これからの時代は従来のPCやスマホに加え、IoTなどインターネットを利用したサービスがどんどんと普及していきます。そうした時代の流れをしっかりとキャッチした機種です。
用途にあわせてルーターを選ぶこと重要
Wi-Fi 6対応のルーターを4機種紹介しました。もちろん、価格に応じた機能や性能がありますが、Wi-Fi 6を安心して使うことができるという点に関しては問題ありません。
マンションやビルなど、コンクリート製の建物で使うなら、パワーアンテナ内蔵のバッファロー WiFi ルーターが適していますし、子どもの利用時間を制限したいのならNEC Atermシリーズがいいでしょう。
またとりあえず、Wi-Fi 6に対応したルーターが欲しいというのであれば、I-O DATA WiFi 無線LAN ルーターで充分です。
またインターネットサービスをとことんまで利用したいと言うのであれば、NETGEAR メッシュWiFi無線LANルーター3台セットがおすすめです。通信環境やどういった目的でWi-Fi 6を利用するのか、使用頻度も含めて検討するとよいでしょう。
まとめ
Wi-Fi 6の登場で、これからはそれに準じたサービスが標準となっていきます。従来のルーターも使うことができますが、より便利で高い性能を持つこのWi-Fi 6の魅力を放っておくのはあまりにももったいない話です。
ルーターをWi-Fi 6対応にすることで、高速通信で、なおかつ膨大な容量を持つため、今までとはまるで違う通信が可能となってきます。
リモート会議などもスムーズに進むでしょうし、情報伝達も段違いの速さで行うことができるのです。趣味や娯楽に関しても、今まででは不可能だったことも、可能となってくるはずです。5Gの普及とともに、Wi-Fi 6もどんどんと広がっていくでしょう。