電気自動車が主流になりつつある現在、世界的に有名なテスラに興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
テスラといえば「ロードスター」の印象が強いですが、ロードスターの後発として発表された「Model S」は、テスラを車業界で特別な存在へと押し上げたモデルとして知られる人気車種となります。
こちらの記事では、将来的にテスラを購入しようと検討されている方、電気自動車に興味があるという方のために、テスラとはどんな会社なのか、テスラが開発した電気自動車について、モデル別に詳しく解説しています。
ネット購入も可能なテスラ。高額な買い物をする前に、まずはしっかりとテスラについて理解を深めておきましょう。
目次
テスラとは?
アーチを描く「T」のマークでおなじみのテスラは、2003年にアメリカのデラウェア州にて「テスラ・モーターズ」として誕生した会社です。こちらでは、テスラの歩んだ歴史やテスラから誕生した車について紹介します。
社名の由来は?
テスラは、2003年に数名のエンジニアによって創設された比較的若い自動車会社です。
アメリカ・カリフォルニア州パロアルトに本社を置き、二次電池式電気自動車や電気自動車関連製品、ソーラーパネルなどの開発・製造・販売を行っています。
自動車産業において、テスラは電気自動車関連商品に特化している点が大きな特徴です。
社名は偉大な電気技師であり物理学者だった「ニコラ・テスラ」に由来するもので、会社と関係のある人物というわけではありません。
頭文字のTがエンブレムになっているのは有名ですが、Tはまたモーターの断面を表しているそうです。
「テスラ・モーターズ」から「テスラ」へと変更されたのは2016年のこと。自動車だけではなく、バッテリーやエネルギー分野にも注力し、ビジネスを拡大させていきます。
世界中の注目を集めた「ロードスター」
テスラ初の生産車両は、2008年に販売された「ロードスター」です。日本では2010年から販売され、インターネットでの販売を開始、その後青山にショールームをオープンします。
世界限定2,500台生産されたロードスターは、これまでの電気自動車に対する認識を変えるほどの衝撃を人々に与えました。
2シーターオープンカースタイルのロードスターは、高性能バッテリーテクノロジーと電動パワートレインを搭載した画期的なEVとして、またたく間に世界中から注目されることになります。
ロードスターの2番手となるのが高級セダンタイプのModel Sで、Model X、Model 3、Model Yと続きます。
2018年には新車販売台数が約25万台と過去最高を記録。今後も、日本を含む世界各国、地域で高いシェアを獲得していくことが期待されています。
車の域を越えたスマートデバイス
革新的な電気自動車や関連商品を開発するテスラは、ブランド力をさらに高めています。ソフトウェアもどんどんアップデートされ、スマートに操作できるようになり、ユーザーそれぞれの理想とする快適な車へと進化し続けるでしょう。
それはすでに車の域を越えたスマートデバイスとも捉えることができ、他社の既存のプロダクトとははっきりと差別化されています。
近年世界各国でガソリン車やディーゼル車の販売禁止などの規制について話題となっており、日本でも2030年代半ばにはガソリン車の新車販売禁止が打ち出されています。
その頃には電気自動車の市場規模は今の何倍にも大きくなっていると予測されており、テスラを含む電気自動車産業はますます発展していくことでしょう。
そんな中、電気自動車に特化したテスラは世界市場において高いシェアを獲得できる将来性のある会社と言えるのです。
テスラ Model Sについて
ロードスターに続くテスラの2番目の電気自動車が「Model S」です。
アメリカでは2012年6月、日本では2013年で発売されたModel Sの登場により、テスラの名は世界的ブランドとして知れ渡ることになります。
では、そんな爆発的な人気モデルとなったModel Sについて見てみましょう。
実用的な5人乗りのオールエレクトリックセダン
4ドアセダンと分類されることもあるModel Sですが、細かく言えばリアに大型テールゲートを備える5ドアハッチバックになります。
スポーツタイプのロードスターに比べ、Model Sは実用性を重視した、高いスペース効率を発揮する5人乗りの高級セダンタイプ。オプションをつければリアラゲッジスペースに後ろ向きの子ども用シート2席を装着できるのもポイントです。
シャープなフロントマスクに青色LEDランプを多用していることが特徴的で、リサイクルができるPET樹脂やヴィーガンレザーをインテリアに使用、洗練されつつ高級感の漂う空間に仕上がっています。
ダッシュボードには17型タッチスクリーン画面が備わっており、オーディオをはじめ、エアコン調節や車両設定なども操作できるようになっています。
モニター解像度2200×1300、高い輝度、リアルな色合いで、いつでも最高のスクリーンを楽しめます。
車内は3ゾーンの温度調整が可能、大人が3人座れる後部座席には、広々とした足元スペースとヘッドルーム、さらに収納スペース、ワイヤレス充電ができるアームレストが搭載されています。
テスラを世界的ブランドに押し上げたModel S
1,000万円クラスの高級サルーンModel Sはホワイトスターとも呼ばれ、電気自動車のイメージを覆す圧巻の走りと加速力で、新興メーカーだったテスラを一躍世界的ブランドに押し上げます。
Model Sのグレード構成は従来とは大きく異なり、バッテリーやモーターの数、性能により区別されているのが特徴です。
さらに追加料金を支払えば、ソフトアップデートして機能を追加、または開放できるようになっています。
後の説明にも出てくるP100Dでは4輪駆動(AWD)によりわずか2.7秒で100km/hに達する加速力があり、ブラッシュアップされた新モデルでは驚きの2.5秒を実現。
このように高スペックでありながらも、無理のない普段使いができるEVモデルとしてModel Sは世界中で高く評価されています。
スタイリッシュかつハイスペックな進化系モデルでありながらも、ファミリー層への配慮も忘れない、使い勝手のよさが大きな魅力と言えるでしょう。
「オートパイロット」を採用
Model Sは優れた動力性能や航続距離が大きな魅力ではありますが、「オートパイロット」を採用したことでも世界を驚かせました。
オートパイロットとは「自動運転支援装置」のことで、その当時どこも採用していなかったシステムを、テスラはModel Sから採用したのです。
正確に言えば「オートパイロット対応車種」として売り出された後、ソフトウェアアップデートをすることで利用可能になるというものですが、そのシステムを機能させるための十分な装備が設置されていました。
実際にはドライバーの監視のもとで操作を補助してくれる「レベル2自動運転」だったため、「自動運転」のイメージには遠く及ばないものでしたが、ごくわずかの車種にしか備わっていなかった最新機能が装備されていたことには違いありません。
Model Sのグレードと機能の比較について
テスラModel Sは、高級セダンタイプの電気自動車として知られており、パフォーマンス、ロングレンジ、P100D、100Dというように、いくつかのグレードに分かれています。
では、Model Sの以下の4つのモデルについて、グレード別に航続距離や充電時間など各機能を比較してみましょう。
2019 Model S パフォーマンス
現行モデルの2019 Model S パフォーマンスは、新車価格は12,810,000円と紹介するグレードの中で2番目に高額なモデルです。
バッテリー容量は100kWh、JC08(WLTC)航続距離は590(WLTP)km、EPA航続距離は555km、システム・モーターの最大出力は451kW、最大トルクは931Nmとなっています。
外観は紹介する全モデル共通の全長4,979mm×全高1,445mm×全幅1,964mm、四輪駆動で定員は5名となっています。
車両重量は2,241kg、充電時間はAC200V_JPで約25時間、J1772で約23時間30分、TeslaWCで約5時間、EPA電費は5.03km/kWhです。
2019 Model S ロングレンジ
パフォーマンス同様、現行モデルとして販売されている2019 Model S ロングレンジ。
こちらはパワートレインとバッテリー技術を一体化させたことにより、画期的なパフォーマンス向上と航続距離、効率化を実現しました。
しかも、新車価格は10,350,000円で、紹介するグレードの中では最も安くなっています。
バッテリー容量は100kWh、JC08(WLTC)航続距離は610(WLTP)km、EPA航続距離は595km、システム・モーターの最大出力は350kW、最大トルクは750Nmです。
車両重量はパフォーマンスより25kgほど軽い2,215kg、充電時間はパフォーマンスと同じで、EPA電費は5.36km/kWhとなります。
2017 Model S P100D
生産終了となってしまったモデル、2017 Model S P100D。
PはPerformanceで大型強力モーターが搭載されていることを意味し、100はバッテリー容量、Dは前後デュアルモーターの4輪駆動(AWD)を示しています。
発売当時の新車価格は17,059,000円と紹介するグレードの中では最も高額です。
バッテリー容量は100kWh、EPA航続距離は507km、システム・モーターの最大出力は581kW(推測値)、最大トルクは931Nm(推測値)です。
車両重量は最も重い2,250kg、充電時間はAC200V_JPで約35時間、J1772で約32時間30分、TeslaWCで約7時間、EPA電費は4.6km/kWhとなっています。
2017 Model S 100D
2017 Model S 100Dも生産終了モデルで、こちらもP100D同様バッテリー容量100kWhを示しており、発売当時の新車価格は12,654,000円と2019 Model S パフォーマンスに近い価格。
レバー操作で自動操舵・自動車線変更機能、スマホからも操作可能な自動駐車機能も備えています。
EPA航続距離は539km、システム・モーターの最大出力は420kW(推測値)、最大トルクは621Nm(推測値)。
車両重量は最も軽い2,200kg、充電時間はP100Dと同じで、EPA電費は4.9km/kWhです。
その他のテスラのBEV車(純電気自動車)のラインナップ(2021年最新版)
テスラのBEV車は、Model Sに続いてModel X、Model 3、Model Yと続々と新しいモデルが開発中です。それぞれの特徴と価格について紹介していきます。
BEVとは?
BEV(Battery Electric Vehicle)とは、バッテリーを動力源とする電気自動車のことで、外部から充電した電気を動力源とする方式でモーター走行できる車のこと。
燃料電池で発電して動く車、いわゆるEV(Electric Vehicle)と区別するためにBEVが用いられます。
充電スタンドや自宅の電源から車載バッテリーに充電することでモーター走行が可能、そのため走行中は二酸化炭素が発生することなく、環境にやさしい車です。
クロスオーバーSUVタイプ「Model X」
2015年に発売されたModel Xは、Model Sの車体をベースに開発されたSUVタイプの電気自動車です。新車価格は2019 Model X パフォーマンスで13,480,000円、2019 Model Xで11,100,000円となります。
Model Xは数あるSUVの中でも吐出して低い空気抵抗係数で、スピーディーで快適な走りと優れた航続距離を誇ります。
Model Xの大きな特徴は、地面に対して垂直に開閉するドア「ファルコンウィングドア」です。この方式により、わずか30cmほどのスペースでもドアの開閉が可能となるため、都市部の狭い駐車スペースでもラクラク乗り降りができます。
安全性評価5つ星獲得「Model 3」
Model Xの次に販売されたのが、低価格・量産型のModel 3です。同じセダンのModel Sよりもコンパクトに設計されており、インテリアはレバーやボタンなど操作系統も必要最小限に備え付けられています。
スマホをキーとして利用可能、アプリと連動させて個人認証して解錠も可能です。また、米幹線道路交通安全曲の衝突安全テストでも、最高評価である5つ星を獲得しており、高い安全性能が証明されています。
2017年に生産が開始されたModel 3はコンパクト・ラグジュアリーセダンタイプで、新車価格は2019 Model 3 パフォーマンスで7,032,000円、2019 Model 3 ロングレンジで6,552,000円、2019 Model 3 スタンダードレンジプラスで5,110,000円となります。
ミッドサイズSUVの電気自動車「Model Y」
Model Yは、Model 3の次に登場した、テスラ5番目の電気自動車です。コンパクトEVセダンのModel 3をベースに開発されているため、デザインはModel 3と似たイメージとなります。車に関する設定はほぼタッチパネルで操作が可能です。
Model Y スタンダードの新車価格は約4,360,000円、Model Y ロングレンジは約5,250,000円、Model Y デュアルモーターAWDは約5,700,000円、Model Y パフォーマンスは約6,700,000円となります。
最後に
他社の追随を許さない大型高級サルーンのBEV車、テスラModel Sは、独自の世界観を持つスーパーカーとして世界的に高く評価されています。
一般車に比べるとかなり高額な車であることは否めませんが、その金額に値する優れた実用性、走行性能、環境性能を兼ね備えていることはご理解いただけたのではないでしょうか。
当然ながらエンジンオイル交換も不要、消耗品も一般車より少ないことから、メンテナンス費が安く済むこともメリットの1つです。
人気のModel S以外にも、魅力的なテスラ車がたくさん登場しています。異次元の加速力と快適な乗り心地、環境にも大きく配慮されているBEV車。まさに近未来のクリーンな移動手段にふさわしい1台と言えるでしょう。