ドローンの世界トップシェアを誇る「DJI」から、新たな機種「DJI FPV」が販売されました。
「Mavic」や「Phantom」などのシリーズとは異なり、一人称視点のドローンであるFPVはDJIとしても初となる試みです。
今までのドローンとは異なり、本格的な映像を楽しめるドローンとして大注目されています。この記事では、DJIの新機種「DJI FPV」のスペックや魅力を徹底解説します。
目次
新次元の没入感!DJI FPVの映像がヤバすぎる!
2021年3月にDJIから新たなドローン「DJI FPV」が販売されました。常にドローン業界のトップを走ってきたブランドだっただけに「遂にきたか!」という反応も寄せられています。
・操作が難しそうだから怖かった
FPVに興味があったけど、上記のような理由で始められなかった方も多いでしょう。
結論から申し上げると、「DJI FPV」は上級者から初心者まで楽しめる最高モデルのドローンです。
「DJI FPV」はスリル満点の映像を撮影できるのはもちろん、緊急停止機能やホバリングなどの安全性も優れているので、FPV初心者でも安全かつクオリティの高い映像を撮影できます。
DJI FPVのスペック一覧表
項目 | スペック |
サイズ | 255×312×127mm(プロペラあり)
178×232×127mm(プロペラなし) |
重量 | 約795g |
最大速度 | 140km/h
Mモード:39m/s Sモード:27m/s Nモード:15m/s |
運用限界高度(海抜) | 6,000m |
最大飛行時間 | 20分(無風) |
対応SDカード | microSD |
センサー | 1/2.3インチCMOS 有効画素数:12MP |
ISO | 100-12800 |
最大解像度 | 4K:3840×2160(50・60fps)
FHD:1920×1080(50・60・100・120fps) |
動画フォーマット | MP4/MOV(H.264/MPEG-4 AVC、H.265/HEVC) |
※参照:DJI
DJI FPVの主なスペックを一覧表にまとめました。特に魅力的なポイントを太赤字で表記しています。
何と言ってもマニュアル操縦時の最高飛行速度が140km/hなのは魅力的なポイント。FPVの臨場感とスリルを最大限に活かすことができます。
また航空力学に基づいた設計を採用しており、推進力はもちろん耐風性に優れています。DJIらしい高性能なカメラ性能が搭載されており、FHDでは120fpsでの撮影が可能です。滑らかな映像やスローモーションなど、印象的な映像を製作したいと思っている方のニーズも満たしていると言えるでしょう。
「Phantom」シリーズほどではありませんが、約795gと重量感はありますね。ハイスピードで墜落してしまったら機体だけではなく周囲の物にもダメージが出るので操縦には気をつけたいところです。
DJI FPVのココが凄い!魅力的な機能を徹底解説
【DJI FPVの魅力的な機能】
・多彩な操作モードが搭載されている
・DJIモーションのコントローラーを使った直感的な操作ができる
・ブレのない映像を撮影できる
・パーツ交換が簡単
それぞれの項目について詳しく解説します。
臨場感たっぷりの映像を撮影できる
世界的な映像クリエイター「Sam Colder」氏のYouTubeに掲載されている、「DJI FPV」のイメージ動画です。ご覧の通り、画面越しでも圧倒的な迫力と臨場感を楽しめますよね。
FPVは一般的なドローンとは異なり、ハイスピードを出せるのも大きな特徴です。スピードを出しながら機体をあらゆる方向に傾けられるので、まるで自分が鳥になったかのような体験ができます。
またカメラの視野角は150°と超広角。広大な大地も隅々まで見渡せるので、一般的なドローンよりも更に臨場感たっぷりの映像を届けられます。
多彩な操作モードが搭載されている
「DJI FPV」には多彩な操作モードが搭載されています。
操作モード | 特徴 |
Sモード | FPVのダイナミックな映像を楽しめる。NモードとMモードのハイブリッドタイプ |
Nモード | 従来のドローン制御方法。障害物検知のような安全機能も備えている |
Mモード | 完全マニュアルモード。完全なFPV飛行を体験できる |
通常のFPVドローンの場合、完全にマニュアルモードの撮影しか対応していないので、初心者にとってとてもハードルが高くなってしまいます。
一方で「DJI FPV」は、初心者向け(N)から中級者(S)、上級者(M)までをカバーする操作モードが搭載されているのです。
まずは「Nモード」で操作に慣れてから「Sモード」に移り、飛行に自信が出てきたら「Mモード」で撮影するなど、1つの機体で飛行テクニックを磨くことができます。
DJIモーションのコントローラーを使った直感的な操作ができる
「DJIモーションコントローラー」は、通常の送信機とは別にFPVを操作するためのコントローラーです。
・旋回
・進行方向の誘導
などなど、リモコン型のコントローラーでアクティブな操作ができます。FPVを動かすときはリモコンを持ちながら手首を動かすだけなので、直感的な操作が可能です。
※DJIモーションコントローラーは別売りです。
ブレのない映像を撮影できる
「DJI FPV」は「RockSteady」と呼ばれる映像のブレを抑えられる機能が搭載されています。圧倒的なスピード感と驚くほど滑らかな映像が撮影できます。
「RockSteady」といえば、DJIから販売されているアクションカメラ「Osmo Action」にも搭載されている機能です。激しい動きでもブレない映像を撮影できるので、ツーリングやマリンスポーツなど幅広い用途に使用されています。
パーツ交換が簡単
「DJI FPV」は各パーツを簡単に交換できるのも魅力的なポイントです。
・ランディングギア
・トップシェル
・プロペラ
簡単に取り替えできるため、万が一パーツが破損してしても安心です。またサポート制度である「DJI Care Refresh」も利用できるので、思いっきり飛行を楽しむこともがきます。
DJI FPVが安全な理由
FPVを扱うときに心配なのが安全性ですよね。ハイスピードで飛行させて障害物に当たってしまったり人にぶつけてしまったら取り返しがつきません。
DJIはこのような悩みを払拭させるために、さまざまな機能やサービスを用意しています。
【DJI FPVが安全な理由】
・飛行前に自宅でシミュレーションできる
これらの項目について詳しく解説します。
初心者に嬉しい安全機能も兼ね備えている
「スピードが出過ぎて制御できなくなりそう」「障害物に当たったら心配」と不安になっている方は多いと思います。
自分でパーツを組み立てるようなFPVドローンの場合、墜落したりアクションカメラが大破したりするケースも珍しくありません。
一方で「DJI FPV」の送信機には、緊急ブレーキやホバリング機能が搭載されているので、どんなにスピードを出していても数秒のうちに停止して安定したホバリング状態を保ってくれます。
【DJI FPVに搭載されているセンサー】
・下方センサー
・ToF
・底部補助ライト
このように迫力満点の映像を撮影できるのはもちろん、安全性に優れているからこそ初心者も安心して飛ばせるのです。
飛行前に自宅でシミュレーションできる
「いきなり屋外で飛行させるのが怖い」という方のために、仮想空間を使ったシミュレーションアプリ「DJI Virtual Flight」を提供しています。
【航空法に注意】FPVは「目視外飛行」に該当する
「DJI FPV」は専用のゴーグルを装着して飛行させるため、航空法が定める「承認が必要となる飛行の方法」の中の「目視外飛行」に該当します。
「DJI FPV」を飛行させるときは、航空局長の承認および国土交通省への承認申請をする必要があります。
FPVとは?基礎知識を解説|免許・電波法にも注意
「FPV」とは「First Person View」の略で「一人称視点」という意味です。
ドローンから見える映像をゴーグルに転送することで、まさに自分がドローンのコックピットで操縦している気持ちを味わうことができます。
ゴーグルを装着するのが一般的ですが、最近ではスマートフォンやタブレット端末に対応しているFPVドローンも登場しています。
ドローンを飛ばすときは電波法も重要
DJIのような大手メーカーが国内で流通させているドローンの場合、2.4GHz帯の周波数を用いており、送信出力も10mW/MHz以下になっているため、電波法に関する免許や資格が必須とはなっていません。
※あくまでも電波法です。飛行させるためには航空法は関係するので必ず確認してください。
FPVゴーグルを使ったドローンレースや産業用ドローンの場合は、5.7GHz帯が用いられるケースが多く、「無線局免許」および「第三級陸上特殊無線技士」の資格が必要です。
電波法については「総務省 情報通信」のページを参考にしてみてください。
初心者はドローン?FPVどっちを選ぶべき?
「一般的なドローンとFPVドローンどちらを購入するか迷っている」と悩んでいる人もいるでしょう。どちらもドローンとしての性能が高いですが、それぞれ特徴が異なります。
項目 | カメラ性能 | 操作の難易度 | 安全性の高さ | おすすめ度(初心者) |
ドローン | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
FPVドローン | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
もちろん機種によって性能が異なりますが、平均的に考えると上記のような結果になりました。
カメラ性能
機種によって搭載されているセンサーサイズが異なるので、ひとえに「〇〇の方が優れている」とは言い切れません。カメラ性能を比較するときは、主に以下の項目をチェックしておきましょう。
【カメラ性能でチェックするポイント】
・写真解像度
・センサーサイズ
動画・写真解像度とは、画像の精細さを表す尺度です。ピクセルの数で表されるもので、数字が大きいほど高画質な映像・画像を表現できます。
たとえば今回紹介した「DJI FPV」の場合は、 最大動画解像度が「4K:3840×2160(50・60fps)」となっています。4Kの高画質映像を撮影できるので、よりダイナミックな空撮を楽しめます。
操作の難易度
一般的なドローンよりもFPVドローンの方が操作が難しいと言えるでしょう。機種にもよりますが、FPVドローンはマニュアルモードで飛行させるものがほとんどです。またたった数秒でトップスピードまで到達するので、操作に慣れていない人はすぐに墜落させてしまうかも知れません。
「安全に空撮を楽しみたい」と思っているなら、FPVドローンではなく一般的なドローンがおすすめです。
安全性の高さ
一般的なドローンに搭載されている安全機能は以下の通りです。
・ホバリング機能
・自動帰還モード
・障害物検知機能
などなど、上位機種になるほど高性能な機能が安全機能が搭載されています。
初心者におすすめなのはGPS機能が搭載されているドローンです。GPS機能が搭載されていることで、ドローンの現在位置が明確になるのはもちろん、自動帰還などの便利機能を使用することができます。
初心者向けのドローンとしておすすめなのが、DJIから販売されている「Mavic Air2」です。GPS機能が搭載されており、初心者でも簡単に飛ばせる飛行機能が搭載されています。
GPSの他にも障害物検知機能が搭載されているのも重要なポイント。障害物検知機能とは、岩や木、建物などの障害物を検知して、接触する前にに止まってくれる機能です。「DJI Mavic Air2」には、以下の障害物検知機能が搭載されています。
【DJI Mavic Air2の障害物検知機能】
・後方障害物検知(0.37m〜23.6m)
・下方障害物検知(0.1m〜8m)
初代「Mavic Air」に搭載されていた「前方障害物検知」と「後方障害物検知」に加えて、あらたに下方障害物検知機能が加わりました。これによってあらゆる方向の障害物から機体を守ってくれます。
結論としては、初心者ならFPVドローンよりも一般的なドローンの方が安全性も高く、楽しく飛行体験ができるでしょう。「将来的にFPVもやってみたい」という方は、「DJI FPV」のようなドローンとFPVどちらも楽しめる機種がおすすめです。
FPVドローンは自作すると安い?メリット・費用も解説
FPVドローンについて調べていると、「自作した方が安い」「初心者でも組み立てられる」という文字を目にした人も多いはずです。
結論から申し上げると、FPVドローンを自作するかしないかは用途によって異なリます。
どのような「用途」かと言うと、主に以下の3つのタイプに分けられます。
【FPVドローンの用途】
・FPVドローンのレースに参加したい
・おもちゃとして遊びたい
用途 | 自作の必要 |
映像を撮影する | 必要なし(自作もできる) |
FPVのレース | 必要あり |
おもちゃとして遊ぶ | 必要なし |
パーツを組み立てて「GoPro」などのアクションカメラを搭載する方法もありますが、FPVを落下させたり障害物にぶつけたりすると、アクションカメラが壊れてしまいます。
FPVドローンを自作するメリット
・レースで勝つために試行錯誤できる
・航空法の規制対象となる200g未満かつ高性能な機体が作れる
FPVドローンを自作する最大のメリットは、オリジナルの機体が作れることです。特にFPVドローンレースの場合、速さが問われるので機体を軽量化させる必要があります。
自分好みのパーツを集めて組み立てれば、FPVドローンのレースでも好成績を残すことができるでしょう。
FPVドローンを自作する費用
FPVドローンを自作する費用は、パーツの価格によって異なります。一般的に販売されている「パーツキット」であれば、だいたい10,000円前後です。この基本的な価格に受信機、バッテリー、ケーブル、結束バンド、六角レンチなどの工具を買い足すと、約20,000〜からになるでしょう。
FPVの初心者なら、「DJI FPV」のように組み立てる必要のないFPVドローンがおすすめです。
【組み立てる必要なし】FPVドローンのおすすめ商品5選
ここからは「DJI FPV」以外にもおすすめのFPVドローンをご紹介します。商品ごとの特徴や魅力もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
HUBSAN X4 DESIRE PRO
・サイズ:29.4×29.4×5.07mm
・重量:162g
・カメラ解像度:1920×1080 30fps
・最大飛行時間:約11分
・最大飛行高度:100m
スマートフォンでFPS体験ができるドローンです。FPVドローンとしてはリーズナブルな価格ながら、1080pの高解像度の映像を撮影できます。
特徴的な機能として「ヘッドレスモード」が挙げられます。ドローンの操縦をしているときに「どの方向に進んでいるのかわからない」という事態があります。ヘッドレスモードはリモコンので操作した方向に機体を進められるので、手動でドローンを返還させることができます。
機体にはGPSシステムが内蔵されているため、位置の把握が可能。サークルフライトモードやフォローミーモードなど、クリエイティブな撮影も楽しめます。
ワルケラ FPVドローン
・サイズ:L101×W117×H55mm
・重量:147g
・飛行時間:7〜8分
コンパクトかつ軽量なモデルのFPVドローンです。リモコンを操縦すると「ビューン」と勢い良く飛んでいきます。ちょっとした遊びで飛ばすのではなく、レースのようなスピード感を楽しみたい方におすすめです。
狭い室内では壁や天井に当たってしまうので、屋外での飛ばすようにしましょう。一般的なドローンと比べるとバッテリーの消費が早いですが、予備バッテリーを持っておけば十分に楽しめます。
Parrot ANAFI
・重量:1.4kg
・最長飛行時間:26分
・カメラ:1/2.4インチ 2100万画素
4K映像を撮影できる高性能なFPSドローンです。水平機能が搭載しているので、空中でもバランスを保ちスムーズな飛行を楽しめます。画質だけではなく、ドリーズームのようなクリエイティブな映像表現もできます。
最大の特徴はマニュアルで細かい設定ができることです。自分の思った通りの構図で飛ばせるようになるため、よりこだわった映像表現を楽しめます。
Hioly Stone FPVドローン
・重量:198g
・飛行時間:約32分
・操作距離:約300m(干渉・障害物なし)
コストパフォーマンスの高い機種が揃っている「Holy Stone」のドローンです。一般的なドローンの飛行モードに加えて、FPVモードが搭載されています。
GPSスイッチがONの状態でRTHスイッチを押し上げると、フライト制御システムにより機体が離陸ポイントまで戻ってきます。RTHモードが起動するのは、バッテリーの残量が不足しているときや、規定距離外、機体に何らかのアクシデントが生じたときです。
飛行速度を自由に調節できるため、自分のレベルにあわせた飛行も可能。初心者モードの場合、機体の最大飛行距離は30mです。ドローンの操作に慣れてきたら初心者モードを解除して、自由にスピードや高度を変えてみましょう。
Holyton 子ども向けFPVドローン
・サイズ:115×80×45mm
・重量:約19g
・飛行時間:約18分
・飛行距離:約30m
・解像度:1280×720
「Holyton」から販売されている子ども向けFPVドローンです。機体の重量は航空法の対象外である約19gと、超軽量モデル。高弾性プラスチック製のプロペラガードにより、機体はもちろんのこと周囲の障害物が傷つくのを防ぐことができます。
スマートフォンを傾けることでドローンの前後左右の動きを操作できるため、本格的なドローンの操縦も楽しめます。3Dフリップボタンが搭載されており、さまざまな方向に360°宙返りするアクティブな演出も可能です。
機体は「低速・中速・高速」と3つのスピードモードがあり、ワンタッチでスピードを調節できます。本格的なFPVドローンを購入する前の練習機としてもおすすめです。
まとめ
今回はDJIから販売された「DJI FPV」の特徴と魅力について解説しました。一般的なドローンとは異なり、圧倒的なスピード感と臨場感を楽しめます。専用ゴーグルによって一人称視点の映像を体感できるため、まさに自分がコックピットに乗って操縦している気持ちを味わえます。
「DJI FPV」の最大の特徴は、ドローン初心者から楽しめることです。「S・N・M」3つの飛行モードが搭載されているので、自分の操縦レベルにあわせた飛行ができます。GPSや障害物検知などの機能も搭載されているので、安全に飛行できますね。
ぜひ「DJI FPV」を使ってクリエイティブな飛行体験をしてみてください。