皆さんはTENTOというプログラミング教室をご存知でしょうか。TENTO は2011年に設立された日本初の子供向けプログラミング教室です。2020年現在でも教室数は11、主に関東圏を占めていますので、全国的にはまだあまり知られていませんが、寺子屋方式でひとり一人に合わせたカリキュラムを学べるスタイルは定評があり、各種メディアでも取り上げられている話題の教室です。それで今回はTENTOがどういった教室なのか徹底的に掘り下げて解説していきたいと思います。
目次
TENTOの特徴
TENTO が行なっている寺子屋方式とは、年齢やスキルが異なる子供がひとつの教室に集まって一緒に学ぶスタイルを指します。子どもはそれぞれで発達段階や個性が異なるものです。お互いを尊重しながら自分たちの学習を各々進めていくことができる教室です。この方式にしているのは、”TENTO”という名前の由来にも起因していると考えられます。TENTO の創業者である竹林さんは、
「テントは雨風はしのげるけれども、ずっと引きこもってい引きこもっていられるほど丈夫な場所ではない。一時的に子どもたちを守り、やがては社会に送り出す役割となりたい」と語っています。
TENTOには10種類以上のプログラミング言語を選択でき、ITリテラシーや画像編集など多岐にわたって学ぶことが可能です。
TENTOの学習モデル
基本的に自由に好きなことを学べる環境ですが、TENTO が掲げている学習モデルが存在しますので解説したいと思います。
<段階1> ビジュアル言語でプログラミングを楽しむ
低年齢から使うことができる様々なツールをつかってゲーム感覚でプログラミングに親しんで慣れていくところから入ります。使うツールは多岐に渡ります。
・ビスケット
ビスケットとは、プログラミングを通してコンピューターとはどういうものかを直感的に知ってもらうことを目的としてNTTの研究で開発された言語です。例えば自分がパソコン上で描いた絵を使ってプログラムを作り絵に動きを出すことにより、アニメーションやゲームなどを簡単に作ることができます。
・プログラミン
プログラミンもビスケットと同様に絵を動かしたり音をならしたりしながら直感的にプログラムを作ることが出来る、文科省が開発した学習サービスです。
・Scratch
Scratchは子供用のビジュアルプログラミング言語としては圧倒的なシェアを誇っています。世界中にユーザーがいて多くの教育機関で利用されています。作ったプログラムはオンライン上で公開でき、他の開発者のコードを参照することもできる、オープンソース型となっています。ブロックを組み立ててプログラムを作るので、直感的にできる学習しやすいツールですが、座標、変数、条件分岐、ループ、リスト、演算など基礎をしっかり学ぶことができます。熱意があればかなり高度な作品も作れますので、Scratchでしっかり学べば、テキストプログラミングへもスムーズに移行できます。
・ドリトル
ドリトルは教育現場で副教材として使用するために設計されたプログラミング言語です。小学校(総合・算数・理科・音楽)、中学校(技術科の計測制御)、高等学校(情報の科学・社会と情報)、大学(プログラミング入門、IoT)などで実際に活用されています。例えば小学生の算数の授業で、プログラミングにより円を描くなど学習要項に基づいた内容となっています。
・アルゴロジック
アルゴロジックとは、プログラミングに欠かせないアルゴリズム(論理的思考)を習得するための課題解決型ゲームソフトです。アルゴリズムとは、コンピューターで計算をおこなうときの方法を指します。プログラムの制御構造である「順次」「分岐」「繰り返し」を使って問題の解決方法を考える訓練をこのソフトですることが可能です。
・マインクラフト
あらゆる子どもたちが大好きな、創造性を育むのに最適なサンドボックスゲームです。マイクラをプログラミング学習として活用する方法はたくさんありますが、普通に遊ぶだけでも学習効果は十分あります。
<段階2> テキスト言語を自発的に学習する
プログラミングがどのようなものかを理解できたのちは、数多くある言語の中から好きなものを選び、学習していきます。自分が作りたい目的に合わせて言語を選ぶといいですね。
・ Processing
Processingとは、Javaをベースとした言語をつかって2D、3Dのグラフィックを作成する環境を指します。書いたコードを即ビジュアルで確認できるので、飽きずに楽しく学習できます。自分の描いたものが動くという実感を味わうのには最適の言語だと言えます。
・PHP
PHPはWebのサーバーサイドのプログラム言語です。初心者にとっての学習も比較的簡単だと言われています。これを体得すれば、レベルの高いwebページが作れるようになります。
・Python
Python(パイソン)は世界的に使われているプログラミング言語のひとつで、ウェブだけでなく人工知能などの分野にも使われています。コードの書き方がシンプルなので、プログラムの読み書きが楽だという理由で人気があります。
・Ruby
Rubyは日本人が開発したプログラミング言語で、たくさんのウェブサービスで使われています。オブジェクト指向を学べるのが魅力です。
・Java
Javaは処理速度が速く様々なOSで動作できる、使用者も多い言語です。マインクラフトにも使われています。
<段階3> アプリやWebなどの開発や競技参加に挑戦する
学んだ知識を活かして、独自の開発をそれぞれが行うようになります。TENTO のプレゼンオンラインでは、生徒たちが自分の作った作品をプレゼンしている動画を公開しています。FPSシューティングや人狼ゲームなど本格的な作品が見られます。
TENTOで学べるその他のこと
・タイピング
TENTOでどのコースでも共通して最初に学ぶのはタイピングです。タイピングをしっかり行うことは、国語や英語の学習にも繋がります。きちんとした国語知識がないと正しい日本語を書くことができません。ローマ字で平仮名を打って正しく変換することが訓練になります。また、英語を読めない子供は、ローマ字を扱えないためにわからないという場合が多いんです。それでローマ字入力をすることにより、アルファベットの発音がだいたいわかるようになります。
・画像処理
TENTOでは画像を使ったデザインについても学ぶ事ができます。主にオープンソースのソフトウェアであるGimpやInkScapeなどのソフトを使います。GimpはPhotoshopと似たような機能があり、写真の合成や加工ができるので、ゲームのキャラクターなどを作るのにとても便利です。InkScapeはIllustratorと機能が似ており、サイトのロゴを作ったりイラストを描いたりすることができます。
TENTO受講生の感想
実際にTENTOで学習している生徒たちの意見や感想をまとめてみました。
<Processingで対戦型ゲームを開発した中学生>
「ゲームを作るのは本当に難しかったです。作成にあたり、変数でなく配列を使ったので、本当に大変でした。作ったゲームでみんなで遊ぶのが本当に楽しいです。」
Scratchを学んだ後Processing に進む生徒は多いそうです。Processing は書いたコードがビジュアルで確認できるので、ちょうど良いステップになりそうですね。
<TENTOで6年間学習した卒業生>
「先生からは基礎を教わりましたが、『これをやりなさい』と強制されたことはありませんでした。学ぶ中で、自分自身でプログラミングの楽しさに気づくことができたので、プレゼン大会やハッカソンなどに参加して現在もスキルを高めています。」
自分で楽しさに気付けるのはまさしく理想の形ですね。これらの動機になったのは、講師たち(エンジニアがほとんど)が実際に現場で培った経験と知識を通して、プログラミングの魅力を伝えて一緒にコードを書いてきたことからつながっているのだと考えられています。
<マイクラからJavaに挑戦した中学生>
Javaは他の言語と比べるとJDK(Javaの開発キット)のインストールや環境設定などに一苦労かかる為多少参入障壁があるので、ビジュアルプログラミングからの移行としてはPythonやPHPのパターンが多い中、Javaの勉強に挑戦する中学生が現れました。マイクラが大好きでマイクラばかりしていた子ですが、modの開発をしてみたいと思ったそうです。好きなことがきっかけで高度な学習へも意欲が現れる場合があるということが見受けられますね。
TENTOに通うメリット・デメリット
メリット
- 多様性
- 講師
- 受講料
前述してきたように、学習できるツールが多岐にわたり尚且つ好きなペースで好きな分野を選ぶことができる寺子屋方式ですので、多様性が認められる教室であるということが一番のメリットだと言えます。また、在籍する講師は現役エンジニアや開発に携わる大学生など、プログラミング技術を熟知した人ですので、より活きたプログラミングの知識を獲得することができます。教室によりますが受講料も比較的安価です。月4回の場合だと15000〜20000円で、教材費やパソコン使用料は受講料に含まれています。
デメリット
- 教室数が少ない
関東圏の直営校と数カ所フランチャイズ校がある程度なので、通える場所が限られているのが難点だと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。寺子屋方式で学べるプログラミング教室TENTOの魅力をご理解いただけたと思います。プログラミングに興味があり、教室が近くにある方は是非体験会に参加してみてはいかがでしょうか。この記事がお役に立てると嬉しく思います。